ハコノホテル奇譚
演出インタビュー

演出・三好理代に「ハコノホテル奇譚」の見どころを聞きました。

今回の芝居は[ファンタジック・サスペンス]と銘打っていますが、いつものオグオブらしく楽しんで笑っていただけるものになっていますんで、かねてからのお客様もあまり驚かないでください(笑)。
近作は主人公が重たい悩みを抱えつつ成長していく…という作品が多かったですが、今回は違います。登場人物みんながそれぞれ悩みを持っていて、その悩みはとても基本的なものですけど、観ていただく方にはその悩みがよく分かる・分かち合えるのではないのでしょうか。

今回、4人の客演さんをお招きしました。まず荻山恭規さんは、前回(ツキの王女)に引き続いて出演をお願いしましたが、前回のようなコメディ一辺倒の役ではない部分を併せ持った、難しい役をお任せしています。案外、その「コメディじゃない」部分で頑張るんですよ…もう少しコメディ寄りでもいいんですけど(笑)。前回とは全く違う荻山さんの魅力が出ていると思います。

五十嵐真理さんも「ツキの王女」に続いて2回目。前回はガラの悪い役で準MVPを差し上げるような活躍でした。今回はそれとは丸っきり違う役…もはや前回のことは無かったことになっています(笑)。正統派な役柄と言えますが、パーンとストレートに感情を押し出すわけではない、影なり溜めなりの部分を頑張っています。そこが見どころ。

初出演のお二人。まず三宅まつりさんは、私が演出をつけてもそれにガッツリとついてくるところが本当に頼もしい。打てば響く…というか、演出に対するレスポンスがとても早いんですね。稽古場でも前回演出をつけた部分は忘れないし、さらに上積みして跳ね返ってくるところがすばらしいです。本番までどこまで上がっていくのか、私も楽しみです。

澤田雅世さんは、朗読でご活躍なだけあって声・滑舌は本当にすばらしいです。色白で、最初はどれだけ大人しい方か…と思いましたが、そんなこと全くありませんでした(笑)。見事な弾けっぷり。今回は表現の難しい役柄ですが、感情豊かな部分を見事に盛り込んで仕上げてくれています。そういう姿勢は稽古場で見ていて、本当に嬉しいです。

昔からいるオグオブの役者陣ですが…年齢は割と上になってきたけど、演技はまだ「若い」なぁと(笑)。どう円熟味を増しつつテンポ良くできるかという部分で今まさに格闘しているところです。年齢が上の役者たちが久しぶりに帰ってきましたんで、フレッシュな魅力があるかなと。妙なフレッシュさ(笑)。一回乾かしてまた美味しいドライフルーツみたいな。

彼らの見どころは…まぁ、簡単に触れることにします(笑)。呉屋の涙、山下のコケティッシュな色気、毛受のいい顔、重永の微笑み、才谷の渋み、小島の跳躍力、塚々のミステリアスさ。…こんなところでしょうか?

「ハコノホテル奇譚」の舞台は、古い洋館です。大塚・萬劇場はオグオブ3回目となりますが、今回は"タテに空間のある舞台"にしたいですね。高い天井を持つ洋館ホテルが、客席までずっと続いているような感覚で楽しんでいただけると思います。ちょっと懐かしい? 感じの舞台効果なども織り交ぜつつ、「一つでは終わらない舞台」を目指していますよ。

今回の芝居は、お客様に「そうだよね」って共感してもらえる部分の多い芝居だと思います。幾つになっても忘れられない悩みのようなものを根底に抱えつつ、話自体は楽しく進めていくものになっていますので、ぜひ皆様、ハコノホテルの世界でごゆっくりと時間を過ごしていただき、観終わった後は[泣いた後のサッパリ感]でお帰りいただければと、そう思っています。劇場でお待ちしています。


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